2011年02月03日

コンペ作品講評その1

第1回 ウッディ・ビエンナーレ in 沖縄 開催によせて 組み木デザイナー 小黒三郎
今年の干支の兎にちなんで決められたテーマ「飛ぶ・跳ねる」から発想した入賞作品の多くは、私の予想通り、木片の動きを楽しむ「動くおもちゃ」となりました。
木片を飛ばす・跳ねさせる方法として、キイをたたく、テコの原理、ゴムの弾力性を活かすなど、身近な素材を工夫して作られるおもちゃが多く見られました。

グランプリなど上位三位に入賞した三点の共通点は、

① 発想が面白く工夫され、新鮮である
② 繰り返し遊びたくなり、遊びが持続する
③ 遊ぶほど木片を動かす手の技が習熟して、その技を競うことができる
④ 遊びやすい大きさで、無駄なく、シンプルに形をまとめている

といえます。

①から④は、言い換えれば作り手のデザイン力に負うものでしょう。
沖縄で初めて開催された、木のおもちゃコンペが、沖縄の木工家や一般市民に、おもちゃ作りへの関心を深め、普及し、定着していくことを願っています。
そして次回の2013年の開催を楽しみにしています。


講評 株式会社プラザハウス外商企画部長ジュン・パンギリーナン

「第1回ウッディ・ビエンナーレin沖縄」開催おめでとうございます。沖縄初の木の創作おもちゃコンペッティションの審査員を勤めさせていただき光栄に思います。今回は木の創作おもちゃ作家の巨匠、小黒三郎先生とご一緒に審査させていただき大変勉強になりました。先生に審査のポイントは、と聞くと、仕上げとか技術の前に来るのは、発想のユニークさ。また小さな子どもの好奇心をかきたてる事にも注目することだそうです。それをもとに審査に入りました。
今回おもちゃを作る楽しさが入選者だけではなく、作品を応募した作家全員から感じました。子どものためだけではなく作家さん自身も楽しんだ創作だったのではないでしょうか?

コンペ作品講評その1


入賞作品講評

コンペ作品講評その1

グランプリ受賞
「Hopping Popping」 永尾陽祐作

垂直に並ぶ丸棒に通されたペンギン、イルカ、アザラシなどの海の動物片が、キイを叩くと跳ね上がる。幼児から大人まで、この作品を前にしたら、誰もが手を出してキイを叩きたくなるだろう。
叩き方に習熟して高く跳ね上げると、動物片は丸棒の途中に止まっている小魚やボールを、さらに上へと持ち上げ、最上端の鈴を鳴らし、下に落ちて木と木のぶつかる快い音を発する。木質の硬いハンノキを台に使っているのも音の響きを計算してのことだろう。

動物片をさらに単純化し、丸棒の強度を配慮すれば、製品化が可能である。
「飛ぶ・跳ねる」のテーマを、見事に具現化した魅力のある木のおもちゃとして、審査員一同の総意により、早々とグランプリに押された。

審査委員長 小黒三郎

コンペ作品講評その1

準グランプリ
「気象予報士」 横手道朗作

これはユーモアあり、デザイン性ありでとてもおもちゃとして優秀な作品だと思いました。私が子どものころよくやった履物での天気占い。今の子どもたちに教えてあげたいという気持ちを感じました。ひとつだけ注文をつけるならば作品のタイトルがちょっと硬すぎる気がする。たとえば「あした天気にな~れ」とかもっと子どもの気を引くようなタイトルにしてはどうでしょうか。

コンペ作品講評その1

特別賞  「どれだけ飛ぶかな?」 岩田望美作

ゴムで飛ばしたあと、キャッチするというアイデアに子どもたちの喜ぶ姿が思い浮かびます。思い切り飛ばしてみたい気持ちとそのあとのキャッチまで考えて体を機敏に動かす準備をする・・・・というところにワクワク感があります。
うさぎやかえる、トンボなど、1点1点が種類の違う県産木になっていて木目などの違いも楽しめる工夫も良いですね。土台や、収納ケースなどを工夫して、商品化も良いと思います。

山本香


入選作品の講評は次回



Posted by 小黒ビエンナーレ at 21:31│Comments(0)
 
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